


歌舞伎座當り狂言關之戸組上ケ三枚續
東京浅草 牧金版 明治三十年六月十一日印刷 復刻版(オリジナルをもとに印刷したものです)
積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)名場面
所は雪の降り積もる逢坂の関(滋賀県大津)、冬だというのに不思議に桜が咲いている。 先帝遺愛の桜をここへ移したものだが、先帝崩御を悲しむあまり薄墨色に咲いた。 それが小野小町の歌で色を増したことから小町桜と呼ばれる。 そこには先帝遺愛のこの桜を守り、菩提を弔う少将宗貞と関守の関兵衛がいた。
そこへ宗貞の恋人である小町姫が訪ねてきた。 その仲を関守の関兵衛が取持とうとするが、宗貞は関守の素性が怪しいことを小町に告げる。 実は関兵衛とは仮の姿、天下を狙う謀反人・大伴黒主であった。 これまでその機会をうかがっていたのだが、大杯に映る星の並びを見て今がその時と知る。 早速、野望の成就祈願に使う護摩木とするため、小町桜を切り倒そうとする。 すると小町桜の中から墨染と名乗る遊女が現れ関兵衛をくどきはじめる。 しかし、怪しむ関兵衛に問い詰められた墨染は小町桜の精であることを顕し、関兵衛にも「本性を明かせ」と迫る。 関兵衛から黒ずくめの姿に一変した大伴黒主と墨染精が激しい大立ち回りを始める。
宗貞と小町姫が見守る中、大鉞を構えた大伴黒主と桜の枝を振りかざす墨染精が戦う名場面を再現。
役者
大伴黒主(おおとものくろぬし) 市川團十郎
墨染精 (すみぞめのせい) 尾上菊五郎
少将宗貞(しょうしょうむねさだ) 市川染五郎
小町ひめ(こまちひめ) 尾上菊之助
切組灯籠(立版古)とは
江戸時代から明治期にかけて流行った「組上げ絵」とも呼ばれる庶民のおもちゃ絵遊びです。 1~5枚ほどの錦絵版画を切り抜き、立体的な舞台を組上げるものです。 題材としては、歌舞伎の名場面や歴史物語、風景・風物などが用いられました。 出来上がった作品は、夕涼みの軒先の床机などに飾り蝋燭でライトアップして出来栄えを競い合う夏の風物詩となっていました。
切組灯籠は江戸の呼び方で上方のほうでは「立版古(たてばんこ)」とも呼ばれます。 これは、江戸時代に錦絵や摺物など木版印刷物のことを、はんこう(版行、板行)と呼んだことに由来するそうです。
切組灯籠は孟蘭盆会の供養の灯籠が起源でそれが玩具化したそうです。 組上げ絵なのに灯籠と付くのは不思議ですね。 これにはもうひとつ深い意味があります。 切組灯籠は組上げただけでは完成ではありません。 それを歌舞伎舞台を模した箱に入れることでより立体感が強調されます。 また、蝋燭や電球で照らすことにより、光と影が生まれより臨場感のある舞台となります。 つまり、光で照らすことにより始めて完成形となります。
是非、江戸の知恵、明治の文化をお楽しみください。
作り方
切組灯籠には設計図はありません。 簡単な出来上がり図があるだけです。
最初に、出来上がり図を良く見て各部品がどのように組み合わせるかを把握します。
次に、補修と確認用にカラーコピーを撮っておきます。
いよいよ切抜きです。 昔のようにハサミと糊だけで作るのは難しいです。
現代の道具を十分活用しましょう。 (デザインナイフ、カッティングマット、ピンセット、ボンドなど)
貼り付ける台紙は画用紙のような薄い紙だと反ってしまいます。 しっかりした台紙、板などを用意しましょう。
入れる箱は腕の見せ所です。 舞台風、芝居小屋風、山車風などなど色々工夫してみてください。。
照明用にロウソク等を使用する際は火災に十分注意しましょう。 電球などの使用をお勧めします。
出来上がった切組灯籠は、広く皆様にご披露ください。
※こちらの商品はオリジナルではありません。
オリジナルをもとに現代に印刷し復刻したものです。
